キッチン地球科学は、身の周りにある物や道具を用いたアナログ実験によって、地球惑星科学現象を理解することを目的としています。アナログ実験は、現象を支配する物理を明らかにするという重要な役割を持っていると同時に、自然の持つ不確定要素にも満ちており、ときに予期しない現象が観察されます。それらは、私たちに驚きの発見や考える機会を与え、そして新たな問題を提起します。
これまで、高校の地学実験や大学の教養実験では、「答えがわかっている、あるいは、予想がつきやすい基礎実験」が主流でした。もちろん科学では基礎が重要ですが、完成された実験であるがゆえに実験がルーティン化され、学生にとって実験を行なったときの感動が薄く、つまらないものも多いのが実状です。
そこで私たちは、「多様な到達点を生む実験」として「自ら手を動かして不確定要素の詰まった実験をする」ことの重要性について模索しています。予想外の結果は、新たな問題の発見の卵であり、自然現象に対する驚きや感動を与え、科学的探究心の原動力になります。
実験結果に応じて、その後の進む方向が変わっても全く問題ありません。達成度や評価といった縛りから解放されて、わくわく、ドキドキしながら実験をしてみませんか?